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オルガン前奏曲とフーガ ト短調 BWV 535

今回取り上げるのはオルガン前奏曲とフーガ ト短調 BWV 535。バッハ初期のオルガン曲ですが、当時としては冒険的な和声を使用し即興的に音楽を展開していく意欲作です。即興的でありながらも、前奏曲の中にフーガのテーマが仄めかされ、フーガの最後には前奏曲の曲想を回帰しているという全体の統一感があります。

さて、この曲のピアノ編曲としては、またまた登場するシロティによる編曲があります。ピアノの広い音域を使った派手で演奏効果がある割には比較的容易に弾ける、良い編曲だと思います。それがためか、結構多くのピアニストによって録音が残されています。その中でも、ネルソン・フレイレのライブ録音「Nelson Freire en Concert」にアンコールピースとして収録されているものは、熱気が伝わってくるすばらしい録音です。その他にも、「Bach for Christmas」(→本ページのCD紹介)や、「 Lost in the Stars: The Forgotten Musical Career of Alexander Siloti 」にも収録されています。楽譜は、Carl Fischer社から出版されているThe Alexander Siloti Collectionに含まれています。以下は、シロティ編の前奏曲の冒頭部分です。
Bach=Siloti/ Organ Prelude in G minor BWV 535
(Bach=Siloti/ Organ Prelude in G minor BWV 535)

シロティ編の最大の難点は、前奏曲のみ抜粋ということです。最初に述べたとおり、前奏曲にフーガのテーマが出現していることなどからも、前奏曲とフーガを通して演奏したいところです。

一方で、タチアナ・ニコラーエワのCD「バッハ:小プレリュードと小フーガ」には、ニコラーエワ自身の編曲でこの前奏曲とフーガが通して演奏されています。シロティ編よりも音の厚さはないものの、端正な美しさのある演奏です。

さて、先のシロティ編は、楽譜に書いてある情報によるとテオドール・サーントによる編曲の改編とあります。長い間このサーント編を探していたのですが、最近ようやく海外の音楽愛好家から複写を手に入れることができました。 なんと、その元となったサーント編は、フーガまで通して編曲されていたのです。以下がフーガの冒頭部分です。

Bach=Szanto/ Fugue from Organ Prelude and Fugue in G minor BWV 535
(Bach=Szanto/ Fugue from Organ Prelude and Fugue in G minor BWV 535)

これが、フーガの後半部ではこのような分厚く華やかな展開を見せます(2小節目のバスにテーマが現れています)。まるでブゾーニによる豪華爛漫なバッハの編曲を想起させます。そう、サーントはブゾーニの弟子なのです。

Bach=Szanto/ Fugue from Organ Prelude and Fugue in G minor BWV 535
(Bach=Szanto/ Fugue from Organ Prelude and Fugue in G minor BWV 535)

残念ながらこのサーント編の録音は無いと思われます。腕の立つピアニストに録音してもらいたいところです。ただ、シロティの前奏曲の改編は、バッハ=ブゾーニのシャコンヌのシロティ改編版のように元編曲より音を減らして再構築しているものですが、音を減らして単純化しただけでなく、音楽的にはより洗練されているように見受けられます。サーント編はとにかくたくさんの音が詰め込まれていますが、シロティ編の楽譜の方が保続音の響き方等、よりシンプルに効果を出せると思います。こう見ると、やはりシロティの改編がフーガを伴っていないのが残念でなりません。

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2007年08月21日 23:52に投稿されたエントリーのページです。

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